日本は、世界でも類をみないスピードで「超高齢社会」を突き進んでおります。この超高齢社会の影響を色濃くうける疾患の一つに「関節症」があります。厚生労働省の平成29年患者調査(疾病分類編)では平成2年(1990年)に23万8千人だった患者数は、平成29年(2017年)には143万人へと、およそ6倍に増えていることが確認できます。
そんな「関節症」の代表選手、「変形性膝関節症」に絞ってお送り致します。

■どんな人に痛みがでるのか?
①年齢を重ねるごとに少しずつ関節の軟骨がすり減り炎症や変形が起きる。
②運動時の膝関節には体重の4~6倍もの負荷がかかる。
③閉経後のホルモンバランスの変化で骨がもろくなる。
以上の理由から①高齢で②肥満気味の③女性に多く膝痛がみられます。
その為、歳をとるのは止められないですが、プールや自転車エルゴメーターなど関節に負荷を掛けない運動によるダイエット、昨今は更年期のホルモン補充療法が期待されております。

赤門コラム

■膝痛がみられる方に注目して欲しい2つのポイント
1つ目は膝の前面にある膝蓋骨、通称:膝のお皿です。ご自身で左右両方のお皿を掴み、お皿を上下左右に動かしてみて下さい。ほとんどの方で、より痛む側のお皿の動きが「悪い」「硬い」と感じるかと思います。
2つ目のポイントは、膝を完全に伸ばせるかどうかです。下図にあるように椅子に座った状態から足を前方に挙げてみて下さい。完全に伸ばしきります。先程のお皿の動きと同様、左右の動きの感覚を確認してみて下さい。途中で「引っ掛かりを感じる」や、完全に伸ばした際の「太ももと脛が直線にならない」などです。
以上2つの動きの感覚を覚えておいて下さい。2つの動きの感覚を改善(変化)させる事で膝痛の軽減が期待できます。ツボへのアプローチ後に再度動きの確認をを行います。

赤門コラム

■効果が見込めるツボへのアプローチ方法
右図中央は右のお皿を示します。お皿の周りを囲むように5箇所ツボを示しました。
それぞれ、1:特鼻(とくび)、2:内膝眼(ないしつがん)、3:梁丘(りょうきゅう)、4:膝上(しつじょう)、5:血海(けっかい)という名前です。
5箇所のツボを以下の手順で刺激してみましょう。
「千年灸」を5箇所に1壮ずつ据えます。熱感が心地よく感じられれば、その後2セット繰り返します。千年灸が手元にない場合は指圧でもよいかと思います。指圧の場合は3秒かけて圧し、3秒静止、3秒かけて減圧して行く方法を3セット程お試しください。
千年灸・指圧のツボへのアプローチが終わったら、再度「お皿の動き」と「膝伸ばし」を行い、ご自身で効果の判定を行ってみて下さい。※この方法で変化が見られない場合は治療所への来所をオススメしております。

残念ながら関節は消耗品です。しかし、機械の身体のように壊れたら交換するわけにはいきません。膝痛が進行することで、身体活動性が低下し、筋力が落ちます。筋力が低下することで、更に身体活動性が低下するという悪循環に陥ります。転ばぬ先の杖と思い、日頃からの痛み-筋力-活動性についてのケアをオススメ致します。

(学科主任兼臨床所主任)國分俊繁