脳梗塞の後遺症

脳梗塞の後遺症の代表的なものは片麻痺でしょう。右か左の体の半分が自分の意思で動かす事が出来なくなります。目立つのは腕と脚の動きの不自由さですが、お尻や首・背中・腰の体の半分も筋肉の自由が利かなくなります。動かなくなるのは、体の半分ですが、悪くなったのは、脳細胞ですね。ですから、回復を目指すなら脳への治療アプローチが必要となります。

医学で分かっているのは、脳には可塑性という機能があって、使えなくなった部分の脳細胞の作用をシステム的に迂回させて機能は回復出来る場合もあると言うことです。また、動きの訓練だけをするよりも、同時に複数の刺激を与えると回復に効果が高くなると言う事が、鹿児島大学の川平先生が提唱され、高い効果を発揮しています。他に、動かない方ではなくて動く方の腕を固定してリハビリすると脳システムで麻痺した腕を動くようにしなければと言う判断をするようで、回復に効果的である事も解っています。

さて、鍼灸治療ではどうでしょう。私の研究結果として、鍼灸治療は、脳システムで作用する事が分かっています。学会で発表した事ですが、片麻痺の患者さんの動く方に鍼を刺したまま、麻痺した腕を動かすイメージをしてもらうだけでも、機能回復への効果は高くなる事も分かっています。

東洋医学・鍼灸治療では、数千年昔から巨刺(こし)と言う悪くなっていない方の体に刺す方法があります。

私自身は、病院勤務していた時期に、片麻痺を起こした多数の患者さんの鍼治療を受け持っていました。その中で実感したのは治療・リハビリを受けるだけの場合より自分で「動きたい!」としっかり思って、脳活動を活発にした方が回復へ向かう事が多かったと記憶しています。また、治療に当たるときは、その心を持って貰えるよう接する事が必要でした。人の動きは全て脳からの出力情報でコントロールされています。鍼灸治療は脳で効果を出しています。

適切な鍼灸治療は、脳の可塑性を活発にして、麻痺の回復への近道となり得ます。
刺すだけでは無い鍼灸治療を是非受けてみてください。

<専任教員:吉本豊>
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