『にわかアスリート』になった方、久々の運動がたいへん心地良くつい運動量を増やしてしまい、翌朝以降、全身の筋肉痛で目を覚ますという辛い朝を迎えた経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

筋肉痛には、運動中から発生する『急性筋肉痛』と、運動後、一定の時間が経過してから症状が生じる『遅発性筋肉痛』があり、多くの方が体験するのはまさに『遅発性筋肉痛』です。

この遅発性筋肉痛が生じるメカニズムには様々な説がありますが、多くは不慣れな運動や自身の体力以上の運動を行うことで、筋肉が過度に収縮を繰り返し、筋組織や周辺の組織が損傷、さらに痛みを感じる物質等が加わり炎症が起こり、運動後、数時間から数日後に痛みが生じるものです。

そこでこの痛みを少なくするため、または筋肉に損傷を起こさないためにも筋肉の動かし方に1つのポイントがあります。
運動中の動きには、
1)重い物を持ち上げる(筋肉が縮んで力を出す)
2)重い物をゆっくり降ろす(力の入った筋肉が伸ばされながら動く)
3)筋肉にグッと力を入れるだけ(関節は動かない)
があります。この中で、注目したいのは、2)の重い物をゆっくり降ろす、伸張性収縮です。

この筋肉が伸ばされる動きは、筋線維への負荷が大きくトレーニング効果を出すための重要なポイントですが、強すぎると筋損傷や筋肉痛を発生させる大きな原因の1つと言われています。ダンベルを握って持ち上げる運動であればそこからダンベルを下ろす動き、ジョギングであれば坂を下るときに無意識に行っているブレーキをかける動き、この動きが要注意ということです。

運動中、無意識に行っていた伸ばされているときの動き方やブレーキ動作を意識し、無駄、無理のないフォームなのか等、一連の動作をゆっくり観察される時間を取ってみてはいかがでしょうか。フォームのチェック、そして関連する筋群の補強運動やストレッチングを行うなど、いつも無意識に行っていた運動の中に新たな気付きや楽しさが出てくること、そしてこれらが筋肉痛軽減の1つになるかもしれません。

残念ながら発生してしまった筋肉痛に対しての基本的な処置は安静や冷却ですが、症状によっては温める場合、動作に支障をきたす痛みでは固定が必要になることもるので、このような場合には、お近くの接骨院(整骨院)を受診されて適切な治療を受けて下さい。治療と合わせ、自身に適する運動方法について相談されてはいかがでしょうか。

健康維持のためにも運動は楽しく、そしていつまでも続けたいものですね。

(学科主任兼学生支援主任)高橋武彦